「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」見ましたという話 ※ネタバレしかない

「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」見ました。ええ。見ましたとも。
上映開始直後、映画を見るのはちょっとなあ、という状態で、とはいえ見に行かないとなあと思って1週間程度でどうにか整えて、どうにか予定を調整して、見てきました。

見終わって、しばらく呆然としてました。
なんでみんな上映が終わって劇場に明かりが灯ったあとスッて立てるんですか?(上映後、わたしはしばらく動けなくなっていたのですが、みんなさっさと帰っててええええ・・・ってなったんです本当に。とはいえ、皆さんがさっさと帰ってくれたおかげで我に返ったのでそれはそれでよかったのですが。)皆さん、訓練されてるんですか?
何が起こったのかさっぱり分からない、ただなにか恐ろしく濃密な映像のかたまりを全力でぶつけられたというか、胸を刺す衝撃をスクリーンから浴びてしまったというか、だいたいそんな感じ。意味が分からないけど凄いことが起こったことは分かるけど、やっぱり意味が分からない。そんな感じ。手の震えが止まらず、涙が止まらず、心ここにあらず。

これ以上は何を言ってもネタバレにしかならないので、早急に見てきてください。あ、でも見に行くぞと決めた前の日はちゃんと寝て、ご飯食べて、家事や仕事、課題などをなるべく片付けて、見終わったあと何もしなくても大丈夫な状態(たとえば、夕食を先に準備しておく、帰ってきたらすぐにお風呂に入れる状態にしておく、など)を作っておくことを強くおすすめします。正直、しばらく「心ここにあらず」な状態になりました。多分何回見てもそうなる気がします。仕方ないね。
あと、都合があう方は映画館に行ってください。これは映画館で見てこその作品です。
更にお願いすると、TVアニメ版「少女☆歌劇レヴュースタァライト」および「少女☆歌劇レヴュースタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンド」を見ていくとなおよいです。前者のみでもいいとは思いますが、両方見ておくとより深みが増すかと思います。もし、それでも余裕があるのであれば「少女☆歌劇レヴュースタァライト Re:Live」の公式ページをさらっと見ておく、及び「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#2」の映像またはコミカライズ(本も映像もどっちもおすすめ! いずれもTVアニメ版を見た後に視聴するのがよいと思います。映像作品の方を見る場合は「Revival」版がおすすめ。舞台がでかくなってて、それを生かした演出になってるので。)を見ておくとおおっとなるかもしれません。とはいえ、この辺りは更に追いかけたくなったときに見てもいいと思います。多分映画を見たあとに追いかけても「あ〜〜〜〜〜〜〜ッ」ってなると思うので。

いろいろと事前情報をお伝えしてしまったのですが、時間が無ければどれも見なくても良いんじゃないかって気がします。映画を見て、気になったらTV版および「再生産総集編」を見れば「あ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」ってなれると思います。

以下、「劇場版」以前の作品のお話も含め、「レヴュースタァライト」関連作品すべてのネタバレしかないので、見てない方はそっと閉じましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雑把な感想。大団円をさらに大団円にしちゃった。大風呂敷広げてちゃんときっちりたたんじゃった。ただでさえトッピングもりもりのパフェの上に追加トッピングを全部のせして「食べられるよね? ね?? 食べよう???」って言われてる気がした。

あと、メタな感じのする演出が度々あって、これはおそらく円盤ではそこまでメタ苦感じなくて、映画館じゃないとメタな感じがしないのかなーと思った。具体的にはひかりと華恋が「客席ってこんなに近かったんだ」という話をしている辺り。”見られている舞台少女と、見ている我々がいて初めて成り立つんだぞ「レヴュースタァライト」は!” っていうことは、何度もいわれている感じはあったんだけど、それをものすごく強烈に感じたのはあのシーンでした。

本記事の冒頭に「再生産総集編」も見て、と書いているのは、TVアニメ版を再生産した「再生産」から繋がっているのかな、という感じを強く受けたから。「劇場版」の冒頭、「皆殺しのレビュー」で大場ななが物語に強引に引っ張り込んでいく感じと、「再生産総集編」の合間合間にはさまれるキリンと大場ななの謎めいた会話、これが凄く繋がっている感じがして。とはいえ「再生産総集編」はTVアニメ版を見たあとだからこそ面白いというか、”再生産”なんだなあと納得できる感じがあるので、となるとやはりTVアニメ版を見ておいたほうがいいか、と。めんどくさいオタクだなって感じはしますが、とはいえ「この作品はぶっとんだ表現を平気でやってくる」ということを事前にある程度認識して慣れておかないと、本当の意味で「わからない」ってなりそうなので・・・。 いや、映像の勢いでわーーーってなれるかもしれませんが。

みんな進路決めてて、見学に行けるってことで浮かれてて。それにイライラする香子。「しょーもないのは自分だ」と言えるようになったのが彼女の成長って感じはしつつ、それをみてるなながめちゃくちゃ不穏で、ああやっぱりななはそういう役回りかあ・・・とか思ってしまった。実際そうだった。

して、何ですかあの「皆殺しのレビュー」は。「これはオーディションじゃない」というななの言葉。つまり「これまでとは違うんだ」と言いたいのだろうというところまでは察したのですが、それ以上にあの映像ですよ。「舞台少女の死」を直接描いてしまってるじゃないですか。なんですかこれは。
ななは「再生産総集編」の時も他の舞台少女達と立ち位置が違っているというか、自分自身も舞台少女でありながら、物語の骨子をつくりあげているような印象があったので、今回もなながそういう「役」を演じることを求められたのかなあ、などと思いました。「強いお酒を飲んだみたい」って、「正直自分としては全くこういうことを意図したわけじゃあないんだけど、マジでふぬけすぎなのでちょっち一発ぶち込むぞ(ただし、きちんとそのあとを見据えていた真矢、そもそもそのあとがさっぱりわからない華恋は除く)」ということなのかなとか思ってしまった。実際どうなのかは知りません。本人しか知らないでしょうし。
いろいろ考えてみると、なぜかなな自身がこの作品における「舞台装置」のような感じがしてしまうのがちょっと引っ掛かるところ。「強い酒を飲んだみたい」ってまるで「自分の意志じゃない」感があって、「そうさせられてる」もしくは「そうせざるを得なかった」のかなあとか。ななは舞台少女でありながら、裏方も知ってるという辺りと繋がるのかもしれません。よくわかんない。あとななのいつもの数段低い声、映画館のスピーカーで聞くと、やばい。あと、純那のマジレス好き。そうだね君たちまだ学生さんだもんね。いや、そういうことじゃねえよ。
ななのスイッチ入れちゃったのが純那というのもなかなか。「今はね」って、逃げてるんじゃないわよ、って感じで。それがそのあとの「狩りのレヴュー」に繋がる、なーんてことはこの時点では知らないわけですけども。
見てるわたしとしては「あっこれ今までの作品とはちがうんだー」って心構えができたっちゃできたんですが、いやまって、なにこれ、いろいろ頭が追いつかない。どうしよう。ってなりますね。そして自分の魂が抜けてしまった、まるでマネキンみたいな自分を見て復活するのもまーなかなかびっくりですね。

そして華恋。もう「自分の望む舞台」は叶ってしまって、すっからかんで。進路希望にも他のクラスメイトにはいろいろと書いているのに、華恋だけは書けなくて。その後差し挟まれる華恋とひかりの幼いころから、華恋が聖翔音楽学院を受検するまでのお話は、華恋が舞台少女としてのあり方を取り戻すために必要な振り返りだったのかなーなどと。
ところで、ほんと良いご家庭に生まれたのね愛城華恋は・・・。一般家庭って感じはあったけど、それでもどうにか彼女のやりたいことを叶えるために一生懸命で。良い家庭に生まれたからあんな素直で良い子に育ったんだな・・・。
して、ひかりと華恋は「運命を交換したふたり」なんて言われてたけど、本当に交換だったなーと。ひかりが華恋に舞台を教えて、華恋がひかりを舞台に上がろうと誘って。うわーーーってなりました。最初からこういうことと分かった上でみるとほんとなるほどーーーーってなる感じがあります(ほんとうに?)。
あと、華恋が併願しようとしてた学校が青嵐というのもびっくり。小春・氷雨・涼とならんであの制服を着ている華恋も見てみたかった。っていうか#2で青嵐側に付かないのもそらそうだろ感がちょっとある。もちろんそれ以外の理由のほうが大きいでしょうけど、第一志望に入れたのに、わざわざそこを抜けて青嵐に行く理由とは、みたいな・・・。

して、なんですか、デコトラ。もとい、「怨みのレヴュー」。もともと双葉と香子はほかのメンバーとちがうなあというか、二人で閉じてるなあ感があったのですが、ついに別れる日が来るとは。しかも香子が怒ってる理由が「かってに進路決めるんか」だし、双葉を問い詰める香子(しかも場所がキャバレー風味のところ)がすごいし、そこで目線を合わせない双葉も双葉ですごいし、なんですかこれ。あと、レヴューの最後に双葉がバイクの鍵を渡して、ちゃんとそのバイクを香子は使ってるらしい(でも倒してた)というのにううううってなりました。
ところで、やりたい放題のデコトラはなんですか。ヤンキーですか。わからないです。映像の勢いに押されてほあーってなってましたが、なんですかあのデコトラ。こだわりがすごい。歌詞が出てきたりとか。
あと巻き込まれてるクロちゃんの衣装と演技も好きです。巻き込まれた理由が「双葉に進路のアドバイスしたから」なのももう、香子って感じですね。
しかし、「再生産総集編」のパンフレット掲載の履歴書に「立派な切られ役になります」と書いてた双葉が、すごいところにいこうときめて、それでちゃんと受かってる(まひるや真矢といっしょに)というの、ほんと努力の人だなあって。純那とはちがった方向性の努力の人。

そしてキリンに呼び出されるひかり。ここでもさまざまなところに「ワイルドスクリーンバロック」やトマト、電車などのモチーフが敷き詰められてて、あと現実と虚構が入り乱れるような演出(突然駅から人が居なくなったり、逆に戻ってきたり、キリンがいたり)はほんとこの作品のお家芸って感じ。作品が生み出されるごとに凄い勢いで切れ味がましてるのがまた恐ろしい。

そしてたどり着いた駅で鉢合わせるまひる。「演じてるんだよ」とのことですが、ほんとです? って気持ちもある。実際半分くらい本当の気持ちなのでは?
まひるは野球好きだし、なるほどスポーツと絡めてきたかと。オリンピックかーい! ってなりましたが、冷静に考えるとオリンピックじゃなくてもリレーで繋いだ火をともす大会はある(国体の炬火とか)ので、オリンピックとは限らない気がしますね。でもやっぱり、時期的にオリンピックかーいってなりますが。
あのエレベーターのサイコな感じまじでやべーなって思いました。アレ見たあとに「演技だよ」って言われても演技に見えないでしょう。怖かったって「自分の思ってること全部さらけ出すのが怖かった」なんじゃないの、と思ってしまう。まあ実際の所は分かりませんが。
とはいえ、まひるが「演じろ」と迫って、そして優しく送り出したところは、真昼らしいなあって思いました。まひる、ふわふわしてるけど、その中にものすごくアツいなにかを抱えてるんだなあと、舞台#2とか、アニメの「嫉妬のレヴュー」で感じていたので。舞台とアニメはお話こそあんまりつながってない感ありますが、とはいえつながってるところもありますし。

そして「狩りのレヴュー」。ついに純那となながぶつかっちゃったか。
いや、切腹を促した時点で「とはいえ純那はこんなところで折れるわけないし、なんやかんやあって立ち上がってどでかい一発ぶちこむんでしょ」って思ってたんですけど、いやまって切腹ってなに。っていうかなに、ななは純那のことをそういうふうに見てたわけ? すっげえなそれであんなニコニコしてるの。なんなのさ。ほんとなんなのこのこ。怖い。怖いと思いつつ、だからでしょ、って思う部分も正直ちょっとあった(中学生時代の話とか)。とはいえ、やっと本性をむき出しにしたな大場なな、って感じがあってそこはすごい好きだなーってなってます。
そしてまあ確かに想定はしてましたよ、想定は。で、おおよそその想定はあってたんですが、圧倒的映像でぶっ飛ばされたので、結論としては、ほぼ合ってなかったってことになりますね。一度壊された武器の宝石を、まさか切腹のためと差し出されたななの刀に当てて、それで戦うと思うか普通。思わないよ。本人の武器は本人にしか使えないって思ってたよ。そしてそれを「返して」っていうなながもう。こまっちゃう。
とはいえ、そうやって見下していた(っていう言い方が正しいかは分からないけれど)純那が、もう一度自分の言葉で立ち上がって、そしてレヴューに勝ったことで、なな自身も自分の感情に決着を付けられたのかな、という気もする。
最後、ななはイギリスへ、純那はNYへ、という結末を見たあとに改めてあの別れ方を考えると、なんかぐっとくるものがありますね。日本から見たらすっごい東のほうにいくか、すっごい西の方に行くか、って感じだし。

そして「魂のレヴュー」。クロちゃんのレヴューが見れて嬉しい。アニメでは彼女と誰かの一騎討ちってなかったので。
なんかいろいろぶっ飛んでて記憶が飛んでるんですが、クロちゃんめっちゃかっこよかった。あと、クロちゃんが「舞台少女」の真矢を暴き出すのもすっごいなあと。お互いにこれができるのはお互いでしかない、というあたり、ほんと仲いいなこの二人。
あと、このレヴューは「誇りと驕り」から引用されてるメロディが多いなあと思ったのですが、とはいえ全然違う仕上がりになってるのがほんとすごい。なんでこんな仕上がりが変わるんだ。
最初のどうぶつ将棋的なやつで、真矢がなかなか勝てなくて、という話が最後で回収されるのもほあああああってなった。お互いに高め合えるライバルなんだなあ、この二人は。離ればなれになってもそれは変わらないんだろうなあ。またいつかどこかの舞台で重なって欲しいなあ。

ところでどっこい、B組がフィーチャーされるのも凄いよかったですね。どこで入ってたかさっぱり覚えてないんですが、入ってたことは覚えてて。演じる苦しみだけではなく、生み出す苦しみ、そしてそれを見てもらって感想をもらったり、実際演じて見せてたりするのが、ほんといいなあって。A組だけでも成り立たず、B組だけでも成り立たず、お互いがお互いのできる最高のものをぶつけて初めて舞台が成り立つんだなあ、とかしみじみしてしまった。ホントどこで入ってたかおぼえてないんだけど、凄い印象に残っている。途中までしか原稿が書けなかったのを、それでも公表するの相当苦しかっただろうし、それでも出してしまった結果さらに良いものが作れたはずで、お互いがお互いをリスペクトしてる感じが本当に好き。

そして、ひかりと華恋がぶつかりあう。
観客の存在に気付いて、恐れて、そして死んでしまうというの、我々が殺してしまったのではないかとちょっとウッてなった。けれど、そこからの勢いが凄かった、正直なんかすげえことになってて記憶がほぼ吹っ飛んでるのですが、怒濤の展開だったことは覚えてますね。あとマッドマックス怒りのデスロード。なんですのんあれ。あと「ココが舞台だ、愛城華恋!」はもうすっごい印象に残ってる。びっくりするくらいこれは覚えてる。
これまでから全体的に雰囲気が変わって、あと死と再生という辺りで「ジーザス・クライスト・スーパースター」とか連想しちゃうなあ、などと正気を取り戻したあとにぼんやり思っていたのですが、パンフレットにそれっぽい記述があってまじかよ・・・ってなりました。劇団四季がやってるエルサレム・バージョンじゃなくて、オリジナルの方。その辺考えると宗教的なモチーフが他にもたくさんあったんだろうか、と思うのだけど、詳しくないのでいったん置いておきます。
ところで「JCS」はどの楽曲もやべーです。夏、日本でコンサートやるらしいですし。YouTubeにもあるし。演出が痛々しい(物理的に)ので苦手な方は注意。

それぞれが「その先」を見つけて、きちんとそこに進めた、過去は大事だけど、でもそれに囚われない、という感じのエンディングでほんと、なんかいろいろあったけどちゃんと風呂敷がたたまれてて、しかもエンドロールでひかりがそれぞれのその先を尋ねて行ってるのがもう・・・。ここまで必死に泣くのを我慢してたんですが、最後の最後でダメでした。ああみんな「その先」をつかみ取って、ちゃんと進んだんだって。

なんだかよくわからなかったけどとんでもねえものを見てしまった感がすごいので、しばらくコンディション整えて、もう一回くらいは劇場で見たいですね。これは映画館で見て完成する{歌劇}体験だなーっておもうところがいっぱいあったので。